この桜を見て、君は何を想う
お姉さんに言われた通り、廊下を真っ直ぐに行って曲がる。


「あっ…た」


そこには確かに『0125』と書かれた部屋が存在した。

名前を見ても、間違っていない。

神楽亮くんの部屋だ。




コンコン…


私の控えめなノックの音が響く。



「はぁい」


そこから聞こえたのは、私のノックと変わらないくらいの控えめな声。


それでも、ノックをしてしまったのを少し後悔していた私には温かみがあった。




「あのっ…ふ、藤井奈々と申します」

え?と扉の中から困った声が聞こえる。


そりゃそうだ。

亮くんのことは、私が一方的に知ってるも同然なのだから。



それでも亮くんは、

「どうぞー?」


私を部屋に招き入れようとする声を発せてくれた。
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