この桜を見て、君は何を想う
「藤井さん、乗って?」

俺が押してく、と先生が言う。


「あり、がと」



車椅子なんて、乗ったの初めてだ。


慣れない景色。




それでも、今は。

彼のことしか頭になかった。



…亮くん。


白い壁のそばにいたら、見失っちゃいそうだった。


私の肌は部活の日焼けで茶色めだから、なおさら。



先生が『亮』って呼び捨てしてたから、入院患者さんなのは間違いないのだろう。


でもなによ。


亮くんは、そこら辺をブラブラ歩くこともできない位に重い病気だっていうの?
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