あの頃のように笑いあえたら
「どうしよう……」

返してもらったノートに挟まれていた、彼の連絡先が書かれているメモ。

「いらないなら、捨てな」

いやいや、そんな簡単に言わないでよ。

「でも、個人情報だし」
「ぷっ!ちょっと愛㮈、人が良すぎだよ」

咲苗は笑うけど、彼を傷つけずに私の気持ちを伝えるのは簡単じゃない。

慣れていないからなのか、私が考えすぎなのか。

あれから女子たちは、一通り聞きたいことを一方的に聞き、言いたいことを一方的に言い、満足したようだ。

私にとってはちょっとしんどい時もあったけど、頑張って自分の気持ちをできる限り伝えたつもりだ。

今は、本当に興味のある数人からたまに他のモデルのことや、次の号の特集について聞かれる程度に落ち着いていた。
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