あの頃のように笑いあえたら
やはり、夏休みは源に会えることが減った。

バイトも休みだった今日はずっと部屋でダラダラしていて、午後になった今でもまだパジャマ姿だった。

ー ー会いたいなぁ。

もう5日くらい、源に会えていない。

今まで毎日のように学校へ行けば会えていたのが、なんだか贅沢なことに思えてくる。

明日はみんなで課題をやる約束の日だったので、少しでも進めておこうとベッドの上で問題集を広げてみる。

「……」

うう……ダメだ、数学は英介に任せよう。

やる気のない今、数学の問題はもはや呪文のようにしか見えない。

けっきょくスマホを手に取り、源の写真を眺める。

今頃、何してるのかな。

バイトしてるのかな、家にいるのかな。

どんな家なんだろう、どんな部屋なんだろう。

お昼ゴハンは何を食べたのかな。

ああ、頭の中が源でいっぱいだ。
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