あの頃のように笑いあえたら
真子の家は、駅前のマンションなので迷うことなく到着した。

ーーピンポン♪

「愛㮈でーす」

「いらっしゃい!」

迎えてくれたのは、真子によく似たお母さんだった。

「あ、こんにちは。お邪魔します」

「どうぞどうぞ。あなたが愛㮈ちゃんね?モデルさんの!やっぱりスタイルいいわね〜羨ましい〜!」

お母さんが私を上から下まで眺めるから、恥ずかしくなる。

「はは、いやそんな……」

こんな風に自然にモデルの話しができるなんて、以前の私には考えられないことだった。

「愛㮈!こっち!」

奥の部屋から真子が顔をのぞかせている。

お母さんにお土産のクッキーを渡し部屋に入ると、もう咲苗もそこにいた。

真子の部屋は、彼女らしくシンプルで物が少なかった。

「なんか、真子らしい部屋〜」

素直な感想を言うと

「ね、私も思った」

思いのほか元気な咲苗の声に安心し、真子と目を合わせ微笑む。

前に私が源のことで悩んでいた時に、2人は力をくれた。

今度は私が咲苗の力になれたらいいな。
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