あの頃のように笑いあえたら
咲苗が、どんなに先輩が好きだったか、先輩の話しをする時の顔をずっとそばで見てたから分かるよ。

もし源に彼女ができたら……ううん、もし彼女がいたら、私だってすぐ失恋だ。

想いを伝えられていないのに。

……でも、どうなんだろう。

「私の考えだけどさ」

そう前置きした上で、咲苗に伝える。

「もし、告白してフラれたんだったら、その後ちょっと気まずくなったりしない?」

私の言葉に伏せていた顔を上げる。

「……ん?まあ」

「うん。だから考え方によってはさ、告白する前でよかったのかも」

そんな風に思うの、私だけかな。

普段と変わらず接することができるのも、いいかなって思うんだけど。

「うん、そうだね……分かる。確かにまた部活で会う時にも今まで通りに話しできるもんね」

よかった。少し声に元気が出てきた感じがする。

「そうだそうだ!そう考えよう!」

真子も、気持ちを盛り上げようとしてくれている。

そんな私たちの気持ちだけでも、咲苗に伝わればいい。
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