あの頃のように笑いあえたら
目が覚めるといつもの部屋の天井が目に入る。

じっとりと全身にかいた汗が気持ち悪い。

シャワーを浴びるため、少し早いけどベッドから出ることにする。

夏休みが終わる頃から、この夢を見ることが増えた。

森の中

誰かを追いかけている私

幼い手

ライトブルーのシャツ

もしかして げん君……?

そう考えると、全てが繋がる。

あの写真を見たからなのか。

それとも、夢の中の相手は本当にげん君なのだろうか。

そもそもなぜ、私はこの夢を見るようになったのか。

でも、今はその答えを探すすべはない。

シャワーを浴びて、いくぶんかスッキリした頭の中。
鏡の前で、軽く天然のカールがかかった髪を整える。

小さい頃は、まっすぐなストレートに憧れたが、今となっては手入れが楽なこのボブスタイルが定着している。

「行ってきまーす」

まだまだ陽射しは強い。完全な日焼け防止を施して、外へ出る。
< 145 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop