あの頃のように笑いあえたら
「わあ!可愛い〜!」

机の上に並べられた、たくさんのカバン
を眺める。

今日は久しぶりにカバンの特集の撮影だ。

中高生に人気のブランドからこの冬発売される最新モノが揃っている。

冬物らしく、暖かな素材で作られている物も多い。

「あ、これよくない?私買い取りしようかな」

モコモコとした小ぶりなバッグを手に取っているのは、一緒に撮影をするカンナだ。

「うん、いいね。なんかカンナっぽい」

私がそう言うと、フワリとカンナは微笑む。

周り中がホンワリとするような、そんな笑顔だ。

読者に人気があるのもよく分かる。

まるで、モデルになるために生まれてきたみたい……なんてオーバーかな。

私には持っていないものを、彼女はたくさん持っている、そんな気がする。

「あ、うる!今日一緒にゴハン食べよ」

お目あてのカバンをチェックしているカンナ。

「ん?うん、いいよ」

並べられたカバンはどれも魅力的で、私には眩しすぎる。

また、源のこと聞かれるのかな。

イヤじゃないけど、やっぱりちょっとフクザツだ。

当たり障りのないように話しているが、源の魅力はきっと源本人からしか伝わらない気がするから。
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