あの頃のように笑いあえたら
「ねね、うるの学校、今度の土日文化祭だって?」

「ああ、うんそうだよ」

源から聞いたのだろう。

「そっかぁ……行きたいなぁ。でも撮影入ってるから無理なんだよね」

「はは、そうか。残念」

きっと、カンナが来たら男子たちは大騒ぎだろうな。

カンナは、お弁当を食べる手を止めて私を見つめる。

そのまっすぐな視線にドキッとしてしまう。

私でもこんなにドキドキするんだから、男の子なんてどうなっちゃうんだろう。

「あのね……源くん、好きな人いるんだって」

思いもよらないカンナの言葉に、思わず箸を落としそうになり、慌てて握りなおす。

「えっ?そうなの?」

ーーだ、誰…⁈

ドキドキする心臓を押さえるように、ご飯を飲み込む。

「うん……ちょっと仲良くなれたかなって思ったから、連絡先聞いたんだ。そしたら、無理だって言われて」

残念そうに俯くカンナ。

「そっかぁ……」

「なんで?て聞いたらね、好きな人がいるからって。同じ学校の子らしいよ」

うちの学校か。

「へぇ、誰だろ?」

「それも気になってね、文化祭行きたいって思ったんだけどね……」

いつもはハキハキしているカンナが、珍しく言葉を濁す。
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