あの頃のように笑いあえたら
確かに私が源を好きだと思ったのは、みんなで水族館へ行った時にふと彼が心を開いてくれたからだ。

そんな瞬間に、出会えたから。

「これからも一緒に仕事するから、気まずくなるのもイヤだしさ、少し仲良しの友達でいるよ」

カンナはちゃんと、考えてるんだな。

ー 私は、どうだろう。

源に好きな子がいるって聞いてショックだ。
しかもそれをカンナの口からきかされた。
正直、フクザツだった。

……でもこの気持ちは変わらない。
私はもう、ホンキで好きになってる。

源が迷惑するなんて考えてなかったな。

「でも、どんな子なのかな、源くんの好きな子……きっと優しい子なんだろうな。」

カンナは小さく笑っていた。

「うん、そうだね。私の知ってる子かなぁ〜?」

優しい子か……そうだろうな。

源の好きな人ーー。

いつも源を見ている私でも気づかない、分からない。

私が、その相手を知る時は完全に失恋するってことだ。

源を思い続けることができないなんて、想像したくない。

ねえ、パパ。好きな人がいる人を、好きになったら、ダメかな。
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