あの頃のように笑いあえたら
まだ明るい体育館には、たくさんの人が集まっていた。

私たちが空いている席を探していると。

「あの……もしかして、うるちゃんですか?」

他の高校と思われる女の子が話しかけてきた。

「あ、はい……」

まさか、こんな所で……。

「やっぱり!この学校だったんですね!ひゃー!どうしよ〜!」

いや、私の方がどうしよ〜なんだけど。

その子は嬉しそうに顔を赤くしている。

「やっぱ可愛い〜!あ、握手して下さい」

「あ、うん」

戸惑う私をよそに、その子はありがとうございました〜!と言って私をチラチラ見ながら行ってしまった。

「……あんた、本当にモデルなんだね……」

真子は相変わらず、私を何だと思ってるんだろう。
ま、そんな感じの方が私は楽なんだけど。

その様子を見ていた真子が、目をまん丸くしている。

「あはは、ヤバイ、完全に気抜いてた」

「はははっ!ノーメイクなのに、よく分かったよね」

「ほんとだ」

こんな風に、声を掛けてもらえるのは本当に嬉しい。

私が知らない所で、私の知らない子たちが、私の姿を見てくれている。

私に会えたことを、喜んでくれている。

ただ、やっぱりちょっと恥ずかしくて戸惑ってしまう。

どんな対応をしたら、彼女はもっと喜んでくれたんだろう。
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