あの頃のように笑いあえたら
屋台へと戻ると、昼時は過ぎているのになかなかの繁盛ぶりを見せていた。

「時間だから、代わるよ〜!」

そう言って真子と2人屋台へと入る。

みんなで揃いで作った青いエプロンを締めて。

エプロンには、みんなからのメッセージを書いてもらっていた。

源のは、端のほう。

いつも通り丁寧な字で『楽しもう!』
そんな一言が、源らしい。

店番を終えたメンバーとハイタッチをしてカウンターの前に立つ。

焼き台からは、熱い空気が漂ってくるが、外からの風は冷たい。

喘息が酷くならないといいな。

今日は文化祭の後夜祭だってある、体調崩してる場合じゃない、楽しまないと!

「いらっしゃーい!焼き鳥いかがですかぁ?」

隣りの真子が声を張り上げている。

「あ、愛㮈先輩が店番してる!」

屋台の外からそんな声が聞こえてきた。

「ほら、愛㮈、笑顔!」

「あ、はいはい……焼き鳥、美味しいよ〜食べてって〜!」

愛㮈センパイ……か。

部活に入っていない私には、先輩と呼ばれることは新鮮だった。
< 159 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop