あの頃のように笑いあえたら
「愛㮈センパイ、タレと塩1本ずつ下さ〜い!」

「はーい、ありがとうございます!」

代金を受け取って、笑顔で焼き鳥を手渡す。

まるで、バイトをしている気分だった。

「愛㮈、モデルが役に立ってんじゃんか!」

隣りで焼き鳥を焼いている勝に背中を叩かれる。

「あはは、うん。頑張るよ」

照れくさいけど、やっぱり嬉しい。

相変わらず真子は元気な声を上げて呼び込みをしている。

彼女は焼き鳥屋にむいてるんじゃないかと思う、うん。

ーーケホ ケホッ

「あ、ごめん煙たいよな」

勝が気を使ってうちわで扇いでくれる。
不器用なくせに、気づかいは人一倍できるんだよな。
煙たいわけじゃないんだけど。

「焼き鳥いかがですか〜?タレと塩、美味しいですよ〜!」

そういえば、今日はあんまり源の姿を見かけないな。

午前中は一緒に屋台で仕事をした。それきり顔を見ていない。

いったいどこをうろついているんだろ。
後夜祭の花火、一緒に見たいのに。

こういったイベントの時には、ことの外源が恋しくなる。
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