あの頃のように笑いあえたら
屋台に戻った源

「あれ?源、愛㮈は?」

「あいつ、ちょっと喘息出てるから保健室」

小さな声の源に、真子は驚いている。そりゃそうだ、私が喘息持ちなことも知らなかったんだから。

「え?大丈夫なの?だから咳してたのか」

「うん、また後で様子見に行くけど。店番はオレがやるから」

「うん……分かった。ありがとね」

そんなやり取りも知らず、私は保健室のベッドの上だ。

「ちょっとベッド起こしておくわね」

喘息の時には、横になるのはかえって辛い。

私はいつものように、ゆっくりと呼吸をする。

ーーケホケホッ

腕には、まだ源の優しさが残る。

ドキドキが、止まらないよ。

なんでこんなに優しくしてくれるの?
好きな人がいるんじゃないの?

分からないよ……。

ーーふぅ

暫くすると、呼吸も少しずつ楽になってきた。

源が早くここに連れて来てくれたおかげかな。

ひかれたカーテンの向こう側で、保健の先生がパソコンを打つ音が聞こえる。
< 163 / 231 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop