あの頃のように笑いあえたら
後夜祭では、先生達によるバンド演奏や、全国大会に出場する吹奏楽部の演奏に合わせてみんなで合唱をしたり……だんだんと暗くなるにつれて、盛り上がりを見せていた。

参加できて、ほんとによかった。

キャンプファイアーの炎も、日常を忘れさせてくれる。

源の笑顔も見える。

そして最後には、ちょっと大げさだけど、吹奏楽のファンファーレに続いて小さな打ち上げ花火が屋上から打ち上げられる。

ー ーパンッ‼︎

みんなが見つめる空に、大きな音とともに描かれる光の花。

ひときわ大きな歓声が上がる。

自然と目は源をとらえる。

私の視線に気づいたのか、源もこっちを見る。

フワッとした源の柔らかな笑顔に、花火の光が映る。

ー ードキドキ

もう、すぐに目をそらしたりはしない。

ーー ねえ、パパ。

恋ってやっぱり、いいもんだね。

この先、ずっと笑顔でいられるかは分からないけど。

今、私は笑顔が止まらないよ。
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