あの頃のように笑いあえたら
ーー♪〜

急にカバンの中にしまいっぱなしのスマホが鳴りビックリして飛び起きる。

きっと、真子か咲苗だろう。
あの雷の中、別れたままだった。

慌ててカバンをあさり、スマホを取り出すと。

ーー 芳川 源 ーー

見たことのない着信画面に、一瞬固まる。

え……? 源?

震える指で画面を押す。

「……も、しもし?」

電話をくれるなんて、初めてのことだ。

「あ、オレ……今大丈夫?」

耳に届く、源の柔らかな声。

「うん。もう家着いた?」

心臓の鼓動が源に聞こえてしまいそうで、少し声が大きくなる。

「うん。いとなは?大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」

なんで、電話くれたの?

「まだ雷鳴ってたし、ちゃんと帰れたかな、て思って」

私の疑問はお見通しのようだ。

「あはは、心配性だな」

ーー ありがとう 嬉しいよ

今、小さな源の写真見て、源のこと考えてたんだよ。
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