あの頃のように笑いあえたら
初めて電話越しに聞く源の声が、私の心と体に染み渡る。

もう2度とない初めてに、心がギュッとなる。

「もう、飯食ったか?」
「ううん、まだ。源は?」

「オレもまだ。今父さんが何か作ってくれてる」

そうか、源はお父さんと2人の食卓か。
私は今日は1人だな……。

「そっか。真子たちにも連絡しないとね、心配してるかも」

「そうだな、オレも英介に連絡しとく」

ゆっくりと流れる時間。ずっとずっと話していたい。

「なんか、オレがジェットコースター乗ったって言ったら、父さんびっくりしてた」

「はは、そっか。お父さんも苦手?」
「うん、たぶん」

「ふふ、似た者親子」
「……だな」

親子の何気ない会話。源のお父さんってどんな人なんだろう。

きっと源に似て、優しい人なんだろうな。
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