あの頃のように笑いあえたら
「なんか、愛㮈らしいね」

「そう?まあ、気づくの遅かったし。そのことがなくても、源のこと好きな気持ちは変わらないしね」

「うん。そだね」

ーー私らしい、か。

他の子だったら、これは運命の出逢い!なんて大騒ぎするのだろうか。

「源に、話さないの?」

そう、それなんだよね。

「ん〜……今は話すつもりない。懐かしいね〜なんて感じになるだけだったりしたら、ちょっと寂しいし」

「あはは、なんだそれ。老人会か」

真子の言う通りだ。
源が私のことを何とも思っていなければ懐かしい話しに花が咲くだけだろう。

「何かのタイミングがあれば、話せると思う」

「そっか、そうだね」

ベランダの手すりもたれる私の視線の先には笑顔の源。

真子の視線の先には楽しそうな英介。

「ちょっと〜なんなの!2人して見つめちゃって〜!」

咲苗が二人の間で頬を膨らませている。

「ふふ、咲苗も早く見つめる相手見つけないと!」

「も〜!そんな簡単にはいかないよ〜」

恋は探して見つかるモノじゃないってことかな。
咲苗は、ただ恋をしたいだけじゃないんだ。


「さ、寒いから中入ろ」
「うん」

外は寒いけれど、心の中はホワンと暖かかった。
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