あの頃のように笑いあえたら
下り方向なので、朝は比較的すいている電車に二人で乗り込む。

「さすが、源のことよく分かってるんだな」

少し冷やかすような言い方。

「え?いや……分かんないよ、源の気持ちなんて」

源のことを考えている時間は誰よりも長いと思うけど、それとこれとは別だ。

「ふふ、オレは両思いだと思うよ」

照れてそらした私の視線を追いながら、また冷やかす。

「もう、やめてよ」

「告白したらいいのに」

今度は急に真面目な顔をするからドキッとした。

「……」

告白って。
そんな簡単なことじゃないよ。

「なんか、2人見てるとちょっともどかしくて」

ーーもどかしい?

「えっなんで?」

「だから、両思いだって、2人……たぶん」

「たぶんって。無責任な」

自分は真子という彼女がいるからか、余裕を見せている。

恋は、どうやら自信も生むらしい。
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