あの頃のように笑いあえたら
「はは、ごめん。そういえば源、冬休み入ってすぐの土日にお母さんの法事で長野に行くって言ってたな」

ーー 長野?

「そうなんだ」

そうか、やっぱり長野か……。
幼い源の笑顔が思い浮かぶ。

「愛㮈のばあちゃん家も長野だったよな?」

「うん、そう。でも長野は広いよ」

「まあな。でもそういう偶然ってなんか嬉しいよな」

優しい笑顔を見せる英介。

こんな笑顔に、きっと真子はドキドキしてるんだろうな。
穏やかで優しい英介、しっかりモノの真子、ほんとお似合いだ。

「まあね」

源は英介に、私との事は話していないみたいだ。

そっか……源のお母さんも長野の人なんだな。

源はどんな気持ちで、その日を迎えるんだろう。

月日が経っても悲しみや寂しさは薄れるものではないけれど、毎年迎えるこの時が少しでも穏やかな気持ちだといい。

心から、そう思う。
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