あの頃のように笑いあえたら
「えーと、友情」

「これは……優勝?もう体育祭気分か?」

みんながそれぞれに読み上げていく。

「ちょっと待って、早いよ。まだ書いてない」

源が焦った声を出している、まだ書き終わっていないようだ。

「あは、ごめんごめん」

そんな和やかな雰囲気が心地よい。

「なんだこれ、勝訴?」

当たりくじを引き当てたように、紙をヒラヒラさせながら英介が言う。

「ぷっ!勝訴?」

「あはは!」

みんなの笑い声が響く中

「……それは却下」

ひとりだけ真顔なのは源だ。

「だめ、一応書いといて」

私がそう言うと、チラリとだけ私の方を見て、無言でペンを走らせる。

ほんと、クールなんだな。

笑いたくない?

笑えない?

でもきちんと並んだキレイな文字からは、真面目さを感じる。

そして、その瞳の奥の淋しさは何を語っているんだろう。

なんでかな、気になる。


ー ー 源は、どんな風に笑うんだろう。
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