あの頃のように笑いあえたら
「なんか、公平、多くない?」

まだ半分くらい紙の山は残っているのに、もう7票も入っている。

「あ、あれじゃない?愛㮈の不公平発言!」

咲苗がパッと表情を明るくして手をポンと叩く。

「……へ?」

なんで私?

「あ、それだ。芳川くんが附属じゃないから、不公平!てやつ!」

「ああ、それ?」

つい、口走ったやつだ。
あの一言が、みんなに影響してたなんて。

「あれ、なかなかのインパクトだったよな」

英介まで……。

「でも、あれがあったからオレら立候補したんだし、いいんじゃね?」

戸惑う私に勝が笑顔を見せてくれる。

うう、恥ずかしいったら。

でも、今は言ってよかったなと思う。
私なりの、精一杯の言葉。

「源も、ちょっと嬉しかったでしょ?」

真子に聞かれ、少し照れ臭そうに笑う源。


……そうか。あの時の『おまえ、やるな』は本当に褒め言葉だったんだ。

ぶっきらぼうすぎて、分かんないよ。

なんだ。ひねくれてるのは源じゃない、私だった。
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