あの頃のように笑いあえたら
休憩に入り、控え室のバスに乗り込む。

よかった、誰もいない。

仕事中に、一人になれることはなかなかないからホッとする。

ケータリングのランチを食べ、念のため喘息の薬を吸入する。

これで大丈夫だろう。

一息ついて安心したのか、源が貸してくれたブランケットにくるまり、音楽を聴いていたらつい、ウトウトしてしまったようだ。

どれくらい時間が経ったのだろう。

トントン、と誰かに優しく肩を叩かれ目が覚める。

ゆっくり目を開けるといつの間にかそこには源がいて、バチっと目が合ってしまった。

「ごめん、ノックしたんだけど……」

2人きりの車内、鼓動が聞こえないようにブランケットを鼻まで持ち上げる。

「……あ、ごめんね。もう時間?」
「うん。」

視線は源に向けられずに、慌てて荷物を片付け始める。
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