あの頃のように笑いあえたら
ーー 中2の春 パパは死んだ。

ブレーキとアクセルを踏み間違えたおじいさんの運転する車に轢かれ、あっという間に私の前から消えてしまった。

それから、私たちの生活は一転した。

そりゃそうだ。

ある日突然、いつも空気のようにそばにいてくれた大事な家族が、いなくなってしまったのだから。

当初、私もママもおじいさんを恨んだ。

だって2人とも、自分自身を保つためにはそうするしかなかったんだ。

リビングの電気を付けようとして、間違えてダイニングの電気を付けてしまう。

そんな、ほんの些細な出来事と同じように、ほんの一瞬で、パパは命を落としてしまった。

ーー やりきれない

私とママの人生も、おじいさん自身の人生も、その瞬間に歯車が狂ったのだ。

加害者であるおじいさんには、もちろん悪意なんて全くなかった。

事故直後から、誠心誠意、私たちに接してくれている。

何度も家に足を運び、私の学費を工面させて欲しい、とまで言ってくれた。

もちろん、最初は私たちも受け入れられないでいた。

でも、徐々に……少しずつ

月命日に頂くお花も、ありがたく仏壇に飾れる気持ちになっていった。

それが2年という月日の流れなのか、おじいさんの誠意が届いたのか、それは分からないけど。
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