あの頃のように笑いあえたら
「大丈夫か?」

「あ、うん。ごめん」

こんなつもりじゃなかったのに。

急に泣いたりして、迷惑かけちゃったな。

それ以上突っ込んで聞いてこないのも、私の事を考えてくれてるのかな。

でも、源が本当は優しいことが分かってよかった。

もう、バイト先でもバレないようにハラハラすることもない。

いつの間にか作業も終わり、源は片付けを初めていた。

「さ、帰るぞ」

「あ、うん。手伝ってくれてありがとうね」

そして、私の話を聞いてくれてありがとう。

「何言ってんだ、同じ委員じゃんか」

「あはは、まあね」

私の笑顔を見た源も、自然な笑顔を見せる。

ー ねえ、パパ

私はうまく笑えてるのかな。

「待って!」

カバンを提げ、教室を出る源の背中を追いかける。
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