あの頃のように笑いあえたら
「だから最近、愛㮈元気なかったのか」

「いや、うん。どうしてもパパのこと思い出しちゃってね」

2人は黙り込む。

やっぱり、変な空気になっちゃったな。

急にパパが死んだ話しされたら、そりゃ戸惑うよね。

「あ!じゃあさ、あそこは?去年できた水族館!」

そんな重い空気を振り払うように、真子が明るい声で言う。

「ああ!いいね!そうしない、愛㮈?」

「え?でも」

「場所なんてさ、どこでもいいんだよ〜!みんなと一緒ならさ」

「そうそう、愛㮈が楽しくなかったら私たちも楽しくないし!」

真子、咲苗……。

2人は私の話を聞いて戸惑っていたんじゃない、考えてくれてたんだ。私も楽しめる場所を。

「ありがとう」

「よし、じゃ水族館に決定〜‼︎」

よかった、話して。やっぱり2人はちゃんと受け止めてくれた、しかも笑顔で。

こんな、充実した高校生活を送ってる私を見て、パパはどう思ってるだろう。

きっと、喜んでくれてるはずだ。
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