あの頃のように笑いあえたら
閉ざされてしまった私の心を、スッと包み込んで受け止めてくれた川本さんに出会ったことで、私は前に進む勇気を持てた。

ドン底で這いつくばっている私に救いの手を差し伸べてくれた、まさに神様のようだった。

あれから2年……。

まだ前へは進めていない、足踏みをしている状態だと自分では感じている。

この不安定な時期を救ってほしいというのもあるが、今の自分自身を知るために、私は川本さんに会いにきた。

ー ーカチャ

カウンセリング室のドアが開き、川本さんが顔を出した。

「愛㮈ちゃん、久しぶり。どうぞ」

チラホラと見える白髪や、笑うと見えるシワなどから、パパと同じくらいの年齢だと思っている。

優しい低い声を聞いただけで、胸の奥がホワンと暖かくなる。

もしかしたら、川本さんとパパを重ねているのかもしれない。

「失礼しまーす」

笑顔に導かれ、ゆっくりと部屋へ入る。
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