あの頃のように笑いあえたら
「ていうかさ、選手のヤツらに隠れて作るのって厳しくないか?」

「みんな部活もあるしね……」

それぞれ、真剣に考えてくれているのがよく分かる。

私だって、優勝したい。

運動が苦手なら、応援するしかないし。

「じゃ、やっぱりタオルじゃね?」

「100均で買えるしね」

タオルの方が優勢みたいだ。

「確かに簡単で、バレにくいし。でも目立っていいかもね」

私の言葉に、たくさんの生徒がうなづいてくれている。

「じゃ、一応聞きまーす。タオルがいい人〜?」

大きな咲苗の声に、ほとんどの手が挙がる。

「……じゃ、タオルに決定ね」

それからも話し合いは続き、タオルを振りながらその時に走っている選手の名前を、みんなで合わせて叫ぶというやり方に決定した。

「よし、じゃこれで決めたいと思います」

「応援も、楽しんでやりましょう〜」

こんな話し合いも何度か重ねていくと、私も慣れてきたし、みんなもだんだんとまとまっていくのが分かる。

高校生活、初めての体育祭。

みんなの気持ちが一つになれる、いい機会だ。
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