あの頃のように笑いあえたら
ーートントン、ガチャ

そこへ大森さんが入って来て、疲れた様子で席に着く。

「あー、やっと時間取れた」

「忙しそうですね」

源がねぎらう。

「うーん。でもちょっと落ち着いたから、午後からは予定通りにできそう」

「それならよかった」

大森さんは、幸せを噛みしめるようにサンドイッチを食べている。

彼女が食べている物はなんでも美味しそうに見える。

「……いとな、次何時から?」

自然に聞いてくるから、愛㮈と呼ばれたことに気づかなかった。

「ん?13時半」

「ん……じゃ、その時起こして」

お腹が満たされたのか、眠たそうな声だ。

「うん」

子供みたいだな、そう微笑ましく思った時。

「……あんた今、愛㮈って呼んだ?うるちゃんの本名だよね?」

驚いた様子で大森さんが私たちを見ている。

「あー、オレら、同じクラスなんで」

机に伏せて寝る体制になっていた源が、サラリと答える。
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