あの頃のように笑いあえたら
第一走者は真子だ

「まーこ！まーこ！」

みんな、全力でタオルを振り思い切り声を出す。

コーナーを走り抜ける真子が、チラッと応援席に顔を向けるのが見えると、より一層みんなの声は高まる。

真子はみんなの声援に答えるように、２着でバトンを渡した。

それからＢ組は、１年女子が走り終わるまで２位をキープしていた。

いよいよ男子の番、第一走者は源だ。

真剣な眼差しでバトンを受け取ると、迷わず前を向いて走り出す。

ーー早いっ！

「げーん！げーん！」

初めて見る源の本気の走りは、応援も忘れ見惚れてしまうほどかっこよかった。

源が加速するように、私の鼓動もどんどんと早くなっていく。

源はみるみる前を走る生徒に近づき、もう少しで追い越せそうなところで、次の走者にバトンを渡す。

「源、早かったね！惜しかったけど」

咲苗も興奮して早口になっている。

「うん、でもあと４人いるから大丈夫！」

そして、まだ肩で息をしながら次の走者を見守る源。

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