あの頃のように笑いあえたら
「うるちゃーん、もうちょっと笑顔お願い〜」

「はーい」

私は笑顔が苦手だ。

それも、ミステリアスと言われる理由の一つでもあるかも。

作り笑いでも、見ている人は可愛いと思ってくれるんだろうか。

「うーん、いいよ。次はちょっと目線外して」

オシャレなカフェのテラス席で、カップを持ちながらカメラから視線をそらす。

すると、大森さんと何かを話している源と目が合う。

フワリと君が笑うから、思わず私も笑顔になる。

「おー!今のいいよ、はいオッケー!」

ーー あ……

もしかして、今の顔、撮られた?

「ありがとうございます、お疲れ様です」

ぺこりと作り笑いをし、大森さんと一緒に今撮影した写真をチェックする。

やっぱり屋外の写真はキレイだな、自然の光と空気感。

「わあ、これいい!」

大森さんが上げた声にふと見ると、そこには視線を外し柔らかく微笑む私。

さっき源と目が合った時の写真だった。

ドキッとした。
私、こんな顔してるんだ。

源を見る顔……恋をする私。

「うん、いいよ。これが今日イチだね」

松岡さんまで…

やっぱり天然の笑顔は、作り笑いとは全然違う。

いつも、こんな風に笑えたらいいのに。
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