アリストの３姉妹
いつまでも暴動が起きたままでいるくらいならと、白魔女アリストは本当の意味で覚悟を決めた。

『タリホー王国に永劫の富があらんことをお祈り申し上げます。さぁ、民衆よ、私を殺したいのだろう？　ならば、私を火あぶりにするが良い。火あぶり以外に魔女の命を奪う方法はこの世にはないのだ。』

王の涙ながらの命により、魔女アリストを縛り付けた十字架の足元に、兵士グランバスが火をつけた。

兵士グランバスは、王家に忠誠を近い、魔女アリストの側近としていつも魔女アリストを守ってきた最も身近な兵士だったそうだ。

火をつける直前、兵士グランバスは、その足元に膝間づき、その小さな足の爪の先に接吻をし、火をともしたと言う。

燃える炎は、見たことも無い紫色に光る不思議な色を放ち、その中でアリストは最後のアリアを歌っていた。

民衆の中にはまだ大勢の、彼女の信者がいた。
混乱という闇の心に囚われた民衆達も、誰もがその歌で悪夢が覚めるような思いだった。


『水、水はないのか！』
『炎を、炎を消してくれ！』
『目を覚ませよ、我等の女神が我等に何の危害を加えたか？身に覚えのあるものはいるか！！』
『あぁぁ、アリスト様』

民衆が嘆く姿を最後に炎の中で朦朧と・・・、アリストはアリアをただ歌い続けた。

後に『炎のアリア』と名づけられた名曲として世に残る。

国王と、兵士グランバスは、アリストが炎の中で灰になるまで見届ける役割を果たしている中『炎のアリア』を聞いて涙していた。

アリストは灰になって、崩れ・・・。

そして平穏が訪れた。




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