アリストの3姉妹
“魔法の宴”。

それは、3人姉妹がまだ生き埋めにされる前、彼女たちが遥か昔に携わってきた、当時の王が行っていた民衆たちの日頃の労を労う為の行事。

若き現国王はそれを見習うように抜き打ちで定期的に実行していた。

過酷な労働の任務に着く労働者たちを城に集め、極上の馳走をふるって、温水に浸からせて、日々の労働の疲れを癒してやるという、国王の労働者たちへの労いは、未成年には与えられない、成人労働者たちだけの極上の褒美の時間なのである。

その宴の中で、魔女達は集まった人々に“娯楽魔法”という芸当を見せて楽しませていたことで、その宴の時間はいつからか“魔法の宴”と呼ばれるようになったという。



“魔法の宴”だけではない。国王は、国の民を愛し、その気持ちを表す為に、様々な思考を凝らし、贅沢を分け与えていた。

成人する女たちには、嫁入り時の高級なドレスが1着縫える程の高級布を与えた。その布はムーアシルクという、薄手ながら最も頑丈で肌触りの良い上質さで貴族娘達が舞踏会や婚儀の衣装に最も好んで選ぶ最高級のシルクだ。

その他、成人する男には金一封を。

結婚をし、子を儲けた者には安心して住める住まいを与えてやった。

今期の王は民衆にとって真の味方と愛されていた。


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