アリストの３姉妹

『へぇぇ。意外な話だわ』
『じゃぁ、私の中に半分は敵国の血が流れているかもしれないの？』
『ウェンディ！“敵”だなんて相手を憎むものが発する醜い言葉です。いつからそんな醜い言葉を使う醜い心を持つようになったの！！』
『あ…、ごめんなさい。アンジェお姉様』
『そうよ。ウェンディ。魔女アヴィエータは私達の聖なる母アリストの血を分けた大切な双子の妹。私達の叔母に当たる方よ。そのお方が築いた国を、敵国だなんて！』
『…はい。イリスお姉様、ごめんなさい』

『キャラバン王国は魔女アヴィエータが魔女狩りにより処刑されたあと、国を守る魔女を失ったせいで厳しい自然から守る術も失い、ある日巻き起こった砂嵐により、一夜にして砂の下に埋もれてしまったといいます。
その後、遊牧民が砂漠に移り住んで来て、小さな国が出来ては、また砂に埋もれ・・・その繰り返しで、いつしか、誰もそこに国を築こうと思うものも現れず・・・ただの荒れた砂漠になってしまったのです』