アリストの３姉妹

『では、勝手な憶測かもしれないけど…、もしも砂漠のどこかに魔女アヴィエータの娘が埋められていたら？』
『砂漠の真ん中で、誰にも見つけられることも無く…？』
『これから一生？生き埋めのまま一人ぼっち？』
『ええ、多分、憶測ではなく、現実です。こうなった今、私には感じるわ。暗い暗いどこかで一人の魔女の魂が生きていて、わたし達の様子をいつも見張っている、そんな視線を』
『私も感じます』

『あぁ、なぜ、今まで気づかなかったのでしょう。こんなに強く命の鼓動が伝わってきているのに』
『そうね。今までは、眠りが深かったのかもしれないわ。時が経って、眠りが深い意識世界から、レム睡眠期へと変わってしまったのかもしれない』
『レム睡眠期には、自律神経系の活動が不安定になり、血圧の変化が激しくなるせいで、心拍や呼吸が乱れて悪夢を見るというでしょう？彼女にとっては、夢の中にこの現実世界を映し出しているようです』

『夢現同一化現象？』

『えぇ。』


“夢現同一化”とは、夢の中で現実世界を操る魔法の一つ。
大きな魔力を持つ者に備わる魔法の力で、魔力と生命力を消費する為、その魔法の力をもつ魔女さえ恐れて、滅多な事では使わないと言われているが、中には睡眠中に無意識のうちにそれを行う魔女もいる・・・。無意識で行われる夢現同一化の魔法を“夢現同一化現象”と呼ぶ。