アリストの3姉妹
それから、この旅に参加していたのは三姉妹だけではなかった。三姉妹とメスのラクダがこの旅の道連れである。

体力もあり、温厚でよく乳を出すこのラクダのロッティも旅立ちの日に頂いた王からの贈物。背中のこぶにたんまりと栄養を蓄えたロッティなら三ヶ月は物を食わずとも平気で砂漠を歩き続けると王様の保障済み。

このラクダ、だたのラクダではない。
城で飼われている数頭以外は母国の小さな砂丘にのみ生息する天然記念とされているヤコブラクダという珍しい種族で、まさに希少動物であった。

ロッティの出す乳は、蜂蜜のように甘く、疲労時に飲むと疲れが癒される。冷やせば冷やすほど甘さを増し、逆に火を通すと甘みが消えて、味わいの深いコクが出る。王家の食卓で最上級のシチューでよく使用されていた。

言ってしまえばそんな贅沢な超高級料理の元をいつも持ち歩いているような贅沢な旅だ。

その上、歩き疲れた時は順番に背に乗せて歩いてくれた、ロッティは心強い旅の友でもある。





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