アリストの3姉妹
『まぁ、ウェンディ、なんて素晴らしい即興でしょう』
『ふふふ。ここに竪琴があったなら、もっと素敵に歌えるのに、残念だわ』
『今の歌に、私はコーラスをつけるわ』
『喉が渇かない程度に、優しい声で歌いましょう』
『喉が渇いても平気よ。今日のロッティは絶好調にお乳をだしてくれてるし』

『そんなこれは即興大会よ』
『あら、コーラスだって即興でつけちゃうわよ』
『即興だったから、もう、歌詞覚えてなーい』

では、次は私・・・
アンジェは大きな深呼吸のあとで、しずかに柔らかな声で歌い始めた。

『母の腕の心地よさを、私は風の中に感じたわ
あなたの時は一千年の昔に終わりを告げ、
その時代の時の彼方で私達を包む。

ゆるやかでほのかに暖かく
さやさやと髪をなでる風の中
私は遠く遠く、遥かな昔を思い出す。

優しい母の心地よい手の温もり。
抱かれて眠る耳元の子守唄。
優しい優しい聖母の歌声を聞きながら
ゆっくりと時が流れた。

希望を未来に託し
時の彼方で目覚めた今も・・・

こうして、風となり
私達を包み守ってくださる
あなたの愛を感じています

私たちの母。
偉大なる白き魔女、聖母アリスト』

イリスとウェンディが喝采を送った。

『素直に感動!』
『やはり、お姉様には叶わないわ』
『国一番のディーバに挑戦しようって方がアッホーなのよ』
『って、あなたが威張ってどうするの、イリスったら』
『お姉様の歌の力で、太陽さえ和らいだ気がする』

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