アリストの3姉妹
『歌うって素敵ね。つらい旅の途中をこんなに幸せな気持ちに変えてくれる』
『ええ』
『今度城へ戻ったなら、私たちの旅を、またオペラにして皆様に喜んで頂きましょう?』
『それはいい考えだわ』
『そうすればどんな辛い出来事も、民衆に笑顔を与える為の材料になる』
『ええ、そうよ』


イリス得意の脚本作りが始まった。


『砂漠へ旅に出た娘達・・・そうねぇ。まず始めに出会った困難な出来事・・・』
『困難な出来事・・・?』
『それは・・・・砂漠のトイレは何処――――?』
『誰も見てないし、私たち女同士だし、姉妹だし、今さら何を恥らうか!』
と強く勇ましく言い放ったのは、国一番のマドンナと謳われる魔女。アンジェであった』
『お姉様、強い!それなら見本を見せてよ!と妹たちはツッコミを入れる』
『ねぇねぇ、イリス姉様。それってさ、ちょっと下品つーか、アンジェお姉様のファンには過激すぎよね。想像して興奮して失神しちゃうんじゃない?ゲラゲラ』
『かな? 興奮して失神より、悲しんで号泣?』
『オペラは泣かせる為にやるんじゃないでしょ?』
『喜劇よ。笑いじゃなければいけないのよ。』
『でも、この脚本、面白いんだけど・・・。だめ?』
『絶対却下』

アンジェは顔を赤くして猛反対していた。

3人は砂漠の暑さも忘れて爆笑していた。


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