アリストの3姉妹
『え?』
『墓???』
『そうよ。私にはわかる。これは、ピラミッド。ファラオの墓。』
『ピラミッド?』
『うそー、これがー?』
『魔法の力で小さくされちゃったとか?』
『そうじゃないわ。砂の嵐でのせいで、砂の下、私達の足元に深く深く埋もれているのよ。』
『ええええ????』
『さぁ、ウェンディ。あなたの力が必要よ』

アンジェはウェンディに風の精霊の力を呼び、いつの時代かに呑みこまれたであろうファラオの墓を埋め尽くす周りの砂を追い払うことを簡単に説明した。

ウェンディは、今までに無い力を此処で使った。というかそれを試みた。

風を呼んで砂の山を築くよりも、地下深くまで砂で埋まった何かを地上に現すほどの大量の砂を何処かへ運ぶことの方が遥かに遥かに大きな力を必要とした。

『ヤバイ。力の温存が全然足りてなない。』
ウェンディは、軽くめまいがして、その場にしゃがみこんだ。

そう言って、その日は何時もチビチビと頂いていた干し肉を、贅沢にも腹一杯食べて、ロッティの乳も飲み干し、早めに眠りについた。

スヤスヤと良く寝た。
ただでさえ、一口齧れば体力が回復すると言われる栄養源である干し肉と、濃度の濃いロッティの乳を飲み干したのだ。極上の眠りがウェンディを包んでいた。

ウェンディが目覚めたのは翌々日の日も暮れそうな時刻になっていた。

ウェンディを上手くサポートできるよう、アンジェとイリスも、それなりに栄養を蓄えておいた。





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