アリストの3姉妹
私は魂だけの姿で成仏することはなく、未来永劫生き埋めにされた姫の側にいるつもりだった。

しかしどうだ!この墓の中は時間が止まっている。
私の姫はこんな小さな赤子でも、時の神にまで愛され“時の魔女”としての魔の力を十分に発している。
おかげで私の死体も、腐ることなくこうしてここに綺麗な寝顔のまま一千年の時を越え、眠って・・・。

ならば、いつか時が過ぎ、この姫が墓から掘り起こされ、愛するキャラバン王国が再建できる日を希望に抱くことも自然だろう。

姫は、自分の正体をまだ知らない。

私と黒魔女アヴィエータは、敵に災害を与え殺戮をかさね国を守ってきたが、あいつも愛情に飢えた淋しい女だった。私と同じ深い孤独を持っていた。だから愛した。

できるものなら私たちの娘には、白魔女のような穢れのない美しい心の姫に育ってほしいと願うのは一人の父親の心だ。
出来るものなら白魔女たちよ、お前達の妹として、白魔女として我が娘を育ててはくれぬだろうか?

生まれながらに魔女の力を目覚めさせているこの子を育てられるのは、もう、お前たちしかいないのだ。

< 73 / 90 >

この作品をシェア

pagetop