アリストの３姉妹
３人は、一国の王としての男ではない、一人の優しい父親としての男の遺影と暫く無言の時間を過ごした。

光を反射する金銀財宝の輝きの中で、1000年前に勇ましく生きていた王の遺影が一筋の涙を流した。その背後を包む財宝の輝きより、切ないほどに眩しく感じた。
ザムザは、ただの一人の娘を思う父親としてここに残って娘を守り続けていたのだ。


『キャラバン王』
『ザムザ様』
『わかりました。黒魔女アヴィエータは私達の母と双子の姉妹と聞きました。どのような経路をたどってアヴィエータに黒魔女の才能が花開いたのかは別として・・・この子は私達の正真正銘の従姉妹です。実の妹と変わらぬ愛を注ぐ事を誓いましょう』

真摯なまなざしでアンジェが約束を口にした。

『ははは、アヴィエータに黒魔女の力を強いたのは私だ。元、盗賊だった私が大きな財を手に入れ逃げ込んだ、この魔の砂漠に自分の国を作ろうと無謀なコトを考え付いて魔女を呼び寄せる手法が書かれた書物を頼りにアヴィエータを呼び寄せた。
その後も王としての私はかなり強引な力で王に君臨していたからな・・・。主人としての私に見捨てられぬよう、努力するうちにアヴィエータは自然に黒魔女の才能を伸ばして行ったのだ』
『そうだったのですか・・・』
『ザムザ王、姫のお名前は・・・』
『名前は・・・まだない。生みの親がアヴィエータと私ならば、名付の親と育ての親は君達であるよう考えての事で、名はまだつけてはおらん』
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表紙・目次

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