VS IV Omnibus1 撃墜女王
☆
「そうか、それは残念だ…女王に殴られるのもオツだと思ったんだが」
真面目に残念がっている男を、うろんな目で眺めながら、ジョウはふと気づいた。
「どこまで…ついてくる気だ?」
このエレベータが向かっているのは、居住エリア。
いわゆる、狭いがジョウの私室があるところだ。
一方、ケイという男はこの船の単なる客で。
手続きをして宿泊するにせよ、一般兵士の居住エリアではないはずだ。
「………」
すると、少し考え込む顔になった。
そして、ポンっと手を打つ。
「オレ…今日、どこで寝るんだ?」
まったく、考えていなかったのか。
えんがちょな目を向けると、彼はまた軽く笑う。
「すまんすまん、昔のクセで…素で居住エリアに行こうとしてた」
慣れって怖いな。
そんな笑顔の男に、しかし、納得している部分もあった。
やっぱり、昔はここを母船にしていたのか、と。
友人の墓もあるし、フロアにも詳しい。
「参ったな…書記官が手配してくれてたろうに、まいてきちまった」
はっはっはっ。
しかし、軽い。
全然、こたえている様子はなかった。
「昔の知り合いはいないのかよ」
多分。
この男は、制服組だろう。
一番、死ににくい部署。
同じ制服組の知り合いくらい、いそうなものだ。
「あ? あー…うーん…オレ、問題児でここ追い出されたからな」
ごにょっと、言葉が濁った。
中佐まで出世した男が、宙母をおんだされるほどの問題児とは。
どこからどう、突っ込んでいいものか。
頭が痛くなって、ジョウは眉間を押さえた。
「女王のとこに、泊めてもらおっかな」
その眉間の真正面に、にこやかな顔が飛び出してくる。
ピキッ。
こめかみに、ひびが入った。
「喜べ…殴る!」
瞬間沸騰したジョウが、拳を振り上げたら。
「あいよ」
変人は──笑った。
「そうか、それは残念だ…女王に殴られるのもオツだと思ったんだが」
真面目に残念がっている男を、うろんな目で眺めながら、ジョウはふと気づいた。
「どこまで…ついてくる気だ?」
このエレベータが向かっているのは、居住エリア。
いわゆる、狭いがジョウの私室があるところだ。
一方、ケイという男はこの船の単なる客で。
手続きをして宿泊するにせよ、一般兵士の居住エリアではないはずだ。
「………」
すると、少し考え込む顔になった。
そして、ポンっと手を打つ。
「オレ…今日、どこで寝るんだ?」
まったく、考えていなかったのか。
えんがちょな目を向けると、彼はまた軽く笑う。
「すまんすまん、昔のクセで…素で居住エリアに行こうとしてた」
慣れって怖いな。
そんな笑顔の男に、しかし、納得している部分もあった。
やっぱり、昔はここを母船にしていたのか、と。
友人の墓もあるし、フロアにも詳しい。
「参ったな…書記官が手配してくれてたろうに、まいてきちまった」
はっはっはっ。
しかし、軽い。
全然、こたえている様子はなかった。
「昔の知り合いはいないのかよ」
多分。
この男は、制服組だろう。
一番、死ににくい部署。
同じ制服組の知り合いくらい、いそうなものだ。
「あ? あー…うーん…オレ、問題児でここ追い出されたからな」
ごにょっと、言葉が濁った。
中佐まで出世した男が、宙母をおんだされるほどの問題児とは。
どこからどう、突っ込んでいいものか。
頭が痛くなって、ジョウは眉間を押さえた。
「女王のとこに、泊めてもらおっかな」
その眉間の真正面に、にこやかな顔が飛び出してくる。
ピキッ。
こめかみに、ひびが入った。
「喜べ…殴る!」
瞬間沸騰したジョウが、拳を振り上げたら。
「あいよ」
変人は──笑った。