VS IV Omnibus1 撃墜女王
☆
翌日。
ジョウは、休みの予定だった。
なのに、昼過ぎに出頭命令が来る。
撃墜王の報奨休暇も、どうでもいい扱いだ。
ロクな話じゃない気配を、ビンビンに感じながら、ジョウは上官の部屋へと入った。
「ジョウ=ヒロイ、入ります」
ぴりっとしない声と態度で、ジョウは敬礼する。
「休暇中、すまんな。君に、特殊任務の辞令が出た」
ほらほら、来たよ。
敵を落とせば落とすほど、より厄介な任務がくる。
そして、いつかどこかで死ぬ。
まさに、デス・スパイラルだ。
「各部隊の撃墜王たちも投入する、精鋭たちによる特殊任務だ」
広げられた風呂敷に、ジョウは間の悪いときに、撃墜王の肩書きをもらったことに気づいた。
「君は、この宙母の代表というわけだ。活躍を期待する」
ジョウが、この船で唯一の撃墜王になる。
勿論、昔はいた。
撃墜王のまま引退できる人間が、余りに少ないだけだ。
大抵が、どこかで命を落としてしまう。
ついに、自分の番が回ってきたのかもしれない。
「大規模な、地上戦が予想される。久々に、重力圏での飛行任務になるな」
言葉が増える度に、ジョウの死ぬ確率が上がる気がした。
重力圏内では、その重力さえ敵だ。
宇宙空間なら、墜落死だけはないのだから。
「地上では、『パペット』が出る予定だ。君も、噂くらい聞いたことがあるだろう」
不吉な名前が出される。
敗北を、ひっくり返す死の人形。
パペットの噂は、そんな風にジョウの耳に入っていた。
正式な軍属ではない。
傭兵、と言ったほうがいいか。
敗色濃厚なエリアには、追加部隊を送るより、パペットを一人雇えと言われる。
人間なのか、器械なのかさえ分からない。
ただ、その身体は小さく、いつも大男と一緒に出撃するため、いつしか『パペット』と呼ばれるようになったのだ。
翌日。
ジョウは、休みの予定だった。
なのに、昼過ぎに出頭命令が来る。
撃墜王の報奨休暇も、どうでもいい扱いだ。
ロクな話じゃない気配を、ビンビンに感じながら、ジョウは上官の部屋へと入った。
「ジョウ=ヒロイ、入ります」
ぴりっとしない声と態度で、ジョウは敬礼する。
「休暇中、すまんな。君に、特殊任務の辞令が出た」
ほらほら、来たよ。
敵を落とせば落とすほど、より厄介な任務がくる。
そして、いつかどこかで死ぬ。
まさに、デス・スパイラルだ。
「各部隊の撃墜王たちも投入する、精鋭たちによる特殊任務だ」
広げられた風呂敷に、ジョウは間の悪いときに、撃墜王の肩書きをもらったことに気づいた。
「君は、この宙母の代表というわけだ。活躍を期待する」
ジョウが、この船で唯一の撃墜王になる。
勿論、昔はいた。
撃墜王のまま引退できる人間が、余りに少ないだけだ。
大抵が、どこかで命を落としてしまう。
ついに、自分の番が回ってきたのかもしれない。
「大規模な、地上戦が予想される。久々に、重力圏での飛行任務になるな」
言葉が増える度に、ジョウの死ぬ確率が上がる気がした。
重力圏内では、その重力さえ敵だ。
宇宙空間なら、墜落死だけはないのだから。
「地上では、『パペット』が出る予定だ。君も、噂くらい聞いたことがあるだろう」
不吉な名前が出される。
敗北を、ひっくり返す死の人形。
パペットの噂は、そんな風にジョウの耳に入っていた。
正式な軍属ではない。
傭兵、と言ったほうがいいか。
敗色濃厚なエリアには、追加部隊を送るより、パペットを一人雇えと言われる。
人間なのか、器械なのかさえ分からない。
ただ、その身体は小さく、いつも大男と一緒に出撃するため、いつしか『パペット』と呼ばれるようになったのだ。