VS IV Omnibus1 撃墜女王
☆
頭、おかしいんじゃないのか?
ジョウは笑い伏す男を、うろんな目で見下ろした。
同じ年くらいに感じるが、本当はいくつかさっぱり分からない。
飄々としているかと思えば、笑い上戸だし。
焦茶の髪に、焦茶の目。
黙っていれば、落ち着いたそれなりにいい男だ。
しかし、明らかな変人。
「妙なとこだけ歪んでるな…」
笑いの口を、手のひらで撫で消しながら、彼は表情を少し苦いものに変えた。
「生憎、女扱いされたのは、一番最初だけでね」
寄ってきたのは、くだらない男ばかり。
何回か相手してみては、幻滅を味わわされるだけだった。
ジョウの心の隙間を埋めるどころか、なおさら虚しくなるばかり。
そうしている内に、彼女に余計な勲章が増えていき、比例して男どもは近づかなくなった。
この船の人間ではなく、ジョウのことも知らず、変人だったから、一緒に飲むのも気楽かと思ったのに。
「鉄の女と寝たって、自慢にもならねぇぞ」
自分のあだ名くらい、知っている。
撃墜女王という肩書きがついたのは、今日だ。
女の撃墜王なんて珍しいから、こうして構われていることくらい分かっている。
分かって飲んでるんだから、あんたも空気読めよ。
ジョウが、悪態をつこうとしたら。
「この船の男どもは、使えないな…見る目もない」
ぽんぽん。
あ…たまを撫でやがった!
余りの出来事に、口がぱくぱくと空回りする。
完全な、子供扱いだ。
「も…もしあんたが、60過ぎてたら許す…でなきゃ」
頭に血が昇っていくのを感じながら、ジョウはわななく唇を引き結んだ。
彼女の怒りを見て、ケイはぽりぽりと頬をかいた。
「残念…その半分だ」
「歯ぁ食いしばれ!」
既に固めていた拳を、振り上げようとした時。
「中佐!」
駆け込んできた人間に、邪魔された。
頭、おかしいんじゃないのか?
ジョウは笑い伏す男を、うろんな目で見下ろした。
同じ年くらいに感じるが、本当はいくつかさっぱり分からない。
飄々としているかと思えば、笑い上戸だし。
焦茶の髪に、焦茶の目。
黙っていれば、落ち着いたそれなりにいい男だ。
しかし、明らかな変人。
「妙なとこだけ歪んでるな…」
笑いの口を、手のひらで撫で消しながら、彼は表情を少し苦いものに変えた。
「生憎、女扱いされたのは、一番最初だけでね」
寄ってきたのは、くだらない男ばかり。
何回か相手してみては、幻滅を味わわされるだけだった。
ジョウの心の隙間を埋めるどころか、なおさら虚しくなるばかり。
そうしている内に、彼女に余計な勲章が増えていき、比例して男どもは近づかなくなった。
この船の人間ではなく、ジョウのことも知らず、変人だったから、一緒に飲むのも気楽かと思ったのに。
「鉄の女と寝たって、自慢にもならねぇぞ」
自分のあだ名くらい、知っている。
撃墜女王という肩書きがついたのは、今日だ。
女の撃墜王なんて珍しいから、こうして構われていることくらい分かっている。
分かって飲んでるんだから、あんたも空気読めよ。
ジョウが、悪態をつこうとしたら。
「この船の男どもは、使えないな…見る目もない」
ぽんぽん。
あ…たまを撫でやがった!
余りの出来事に、口がぱくぱくと空回りする。
完全な、子供扱いだ。
「も…もしあんたが、60過ぎてたら許す…でなきゃ」
頭に血が昇っていくのを感じながら、ジョウはわななく唇を引き結んだ。
彼女の怒りを見て、ケイはぽりぽりと頬をかいた。
「残念…その半分だ」
「歯ぁ食いしばれ!」
既に固めていた拳を、振り上げようとした時。
「中佐!」
駆け込んできた人間に、邪魔された。