VS IV Omnibus1 撃墜女王
☆
「間に合った」
居住エリアへつながるエレベータを待っていたら。
後ろから、声がした。
ぎょっと振り返ると――さっきバーで捨ててきた男がいるではないか。
「なっ…」
驚きと呆れで、変な声になった。
「オレのカンも、捨てたもんじゃないね」
一人、うんうんと得意げに納得している。
「呼ばれてたんじゃないのかよ」
プライベートタイムを割ってまで、制服組が探しに来たということは、仕事絡みではないのか。
「オレは休暇中なの。なんびとたりとも、その邪魔はさせないさ」
ははは、と軽やかに笑う。
「ああ、でももう…お開きだ」
その笑いを、彼女はつっぱねた。
いまのジョウは、残念ながら機嫌がよくない。
変人と、飲み直す気力はなかった。
「あれ、そうなんだ。誰かを殴りたそうな顔をしてたから、顔を貸しに来たんだが…エレベータ、きたな」
二つの情報を連続で投げられ、とっさにジョウは優先順位をつけられなかった。
「誰も乗ってないのはついてる…中で、存分に殴られるか」
その一瞬の隙間をつかれた。
エレベータに引っ張り込まれていたのだ。
人に何も聞かず、適当に上の階のボタンを押された。
見事に、居住エリアの階を押している。
この宙母に、かなり詳しいようだ。
「さぁ、どうぞ」
顔が、ずいと近づいてくる。
「何が?」
混乱の中、それでも彼女は刺の声は忘れなかった。
「いや、殴りたいだろ?」
至って真面目に返される。
こいつ、マジだ。
マジで――変人だ。
ジョウは、変な汗をかいた。
「殴れって言われて、はいそうですかと殴れっか。あれは、勢いがいるんだ」
すばらしい変人っぷりに、勢いは失われてしまった。
「間に合った」
居住エリアへつながるエレベータを待っていたら。
後ろから、声がした。
ぎょっと振り返ると――さっきバーで捨ててきた男がいるではないか。
「なっ…」
驚きと呆れで、変な声になった。
「オレのカンも、捨てたもんじゃないね」
一人、うんうんと得意げに納得している。
「呼ばれてたんじゃないのかよ」
プライベートタイムを割ってまで、制服組が探しに来たということは、仕事絡みではないのか。
「オレは休暇中なの。なんびとたりとも、その邪魔はさせないさ」
ははは、と軽やかに笑う。
「ああ、でももう…お開きだ」
その笑いを、彼女はつっぱねた。
いまのジョウは、残念ながら機嫌がよくない。
変人と、飲み直す気力はなかった。
「あれ、そうなんだ。誰かを殴りたそうな顔をしてたから、顔を貸しに来たんだが…エレベータ、きたな」
二つの情報を連続で投げられ、とっさにジョウは優先順位をつけられなかった。
「誰も乗ってないのはついてる…中で、存分に殴られるか」
その一瞬の隙間をつかれた。
エレベータに引っ張り込まれていたのだ。
人に何も聞かず、適当に上の階のボタンを押された。
見事に、居住エリアの階を押している。
この宙母に、かなり詳しいようだ。
「さぁ、どうぞ」
顔が、ずいと近づいてくる。
「何が?」
混乱の中、それでも彼女は刺の声は忘れなかった。
「いや、殴りたいだろ?」
至って真面目に返される。
こいつ、マジだ。
マジで――変人だ。
ジョウは、変な汗をかいた。
「殴れって言われて、はいそうですかと殴れっか。あれは、勢いがいるんだ」
すばらしい変人っぷりに、勢いは失われてしまった。