きみと恋の話をしよう
「呼ばれてるんだから、早く行きな!後で報告!」


私は背中を押され、つんのめるように前に歩き出す。お弁当、半分も食べてない。
うう、早めに済ませないと空腹を抱えたまま5限に突入だ。

よろよろと佐橋先輩に歩み寄ると、彼は爽やかに笑った。

いや、爽やか風を装っているだけだ。目が笑ってないもん。


「深山千花さん、ちょっと生徒会の件で話があるんだけど」


「生徒会……ですか」


きっと、生徒会なんて方便だ。
だけど、私にはそれを口にする勇気はない。

それに、王子様に呼び出された地味な一般人として、恋愛沙汰ではないことが周囲にアピールできればそれでいい。
『ハヤテファン』に見咎められた時の言い訳になる。


「生徒会準備室まで付き合ってくれる?」


「はい!」


私は勢いよく2、3度頷いた。

用件はあらかたわかってる。
覚悟を決めて、なるはやで終わらす方向で!


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