きみと恋の話をしよう
「お買い上げありがとうございます。佐橋先輩のおうちと近いですか?」


「自転車で20分」


「割と遠っ」


もしかして、あの絶妙な怪しげオタクスタイルで自転車20分漕いでいらしてたんですか?
やりますな、佐橋先輩。


「あのさ、地元で買うっていうリスクと、あの変装で遠出できないっていう俺の葛藤を足して二で割ると、紀尾井屋書店になるんだけど。それほどバレたくなかったっつう俺の悩みとか、伝わってる?」


ああ、佐橋先輩が言い訳してらっしゃるよ。

なんだか、私、会話しづらいやつとか思われてないかな。
変なやつ扱いされたら嫌だなぁ。


「そうだ。本貸すっていうのさ、明日の朝、学校で渡すよ。生徒会準備室で8時でどう?少し早い?」


佐橋先輩は話題を戻す。
私を特別面倒なやつとは思っていない様子でほっとする。
< 35 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop