きみと恋の話をしよう
私は頷いた。


「恋愛小説オタクなのかな」


オタクなんだろうな、自分で言って思う。
だって、毎週のように私のバイト時間である土曜日にやってくるもん。
顔を隠してこっそりと。


「アダルト雑誌を買う中学生男子みたい」


桃子ちゃんが呆れた声で言った。

女子大生の桃子ちゃんからしたら、中学生男子なんて子どもに見えるんだろうな。
ついこの前まで中学生だった私はその気持ちわかるけど。


「案外、アダルト雑誌より恥ずかしいんじゃない?」


可愛い表紙とドキドキな妄想ができそうなタイトル。
いかにも恋の話ですって感じ。

私だって、買うのにちょっと勇気がいる。
あの男の人だったら、100倍くらいの勇気が必要だよね。
< 4 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop