きみと恋の話をしよう
「『キスは上司命令』これが佐橋先輩のオススメなんですね」


「タイトルを読み上げないで。ちなみに数あるオススメのうち一冊だから」


なるほどなるほど。
それってまた他のオススメも貸してくれるってことですよね。
想像してにまにまと微笑んでしまう。


「ラストがさ、結構泣けるんだ」


佐橋先輩が泣いてるところって想像がつかないけれど。
っていうか、泣いてたらそれはそれで絵になりそうだ。


「へえ、切ない系のエンドなんですか?」


「それは深山さんが実際に読んで確かめて。あ、ハッピーエンド至上主義?」


「いいえ。話として完成していたら、どんなエンディングも受け入れる方です」


私は首を振り、本の表紙を撫でる。
佐橋先輩の好きな本っていうだけで、なんだか愛おしい。
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