きみと恋の話をしよう
いつまでも話していたいけれど、気付けばホームルームまであと15分という時刻になっていた。

各自教室に戻らなければならない。
生徒会準備室から出ようと、私たちはドアへ向かう。


「って、私、バッグ忘れてる」


手には佐橋先輩から借りたショッパーバッグ入りの文庫だけ。
通学用のカバンもお弁当も机の上に置き去りだ。

なにやってるんでしょう、私。

佐橋先輩が苦笑しながらドアを開け、私は机にとって返した。


「疾風くん!」


いきなり、ドアの外から声が聞こえた。

私は反射的に机の下に身体を隠す。
地震です!みたいな感じで。

佐橋先輩は、そんな私を横目にするりと廊下に出るとドアを閉めた。

たぶん、私の姿は見られなかっただろう。
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